最近、ウイルス腸炎による下痢・嘔吐で受診される方が多くなってきました。下痢・嘔吐があると特に乳幼児は容易に脱水になりやすいです。理由としては体重当たりの体内水分量の占める割合が70~80%と多く(大人は約60%)不感蒸泄が多いこと。水分の代謝が速く、腎臓の尿濃縮機能が低いこと。乳児は自ら口渇を訴えたり、水分摂取が出来ないことが挙げられます。
嘔吐時の水分摂取のさせ方ですが、通常嘔吐直後は自律神経反射で顔色が悪くなったり手足が冷たくなります。水分は可能であれば電解質を素早く補給出来る経口補水液をお勧めします。(経口補水液は嫌がるお子様もいますが、あかり薬局さんにはゼリータイプのアップル味の摂取しやすいものも販売していますので一度お試しください)嘔吐後30分程度様子を見て、落ち着いたら5ml程度を5分ごとに飲ませて嘔吐がないかどうかを見ます。耐容出来れば3~4時間かけて経口補水液50~100ml/㎏摂取させていきます。これで嘔吐がなく食欲が出れば食事を開始します。糖分のみの含有率が高い高浸透圧の食品は下痢を助長する恐れがあるので避けます。子どもの年齢に応じてですが、塩や梅干しが入ったお粥、味噌汁、素うどん、塩むすびは最適です。離乳食を食べている乳児にはおもゆ、お粥、うどんなどの炭水化物を与え、おかず類は控えます。授乳中の乳児には母乳または乳児用ミルクを継続していきます。
このように順調に進めば良いのですが、①水分摂取が出来ず、12時間以上排尿がない②ぐったりして顔色が悪い③視線が合わず周囲への関心がない④嘔吐が続き緑色の吐物や血便がある。⑤目が落ちくぼんだり、唇や口の中が乾燥している。泣いても涙が出ない⑥激しい腹痛がある。⑦呼吸が速く機嫌が悪い。若しくは意識がない⑧1日6回以上大量の水様便があるなどの症状があるときは受診が必要となってきます。
あと家族全員に腸炎が広がったということも良く聞きます。まずはおむつなど排泄物や吐物を取り扱う保護者と家族の手洗いの徹底が必要です。ノロによる腸炎の場合は次亜塩素酸入りのトイレ洗浄剤で排泄ごとに洗浄・消毒をします。また接触した場所は0.1%次亜塩素酸(ハイタ―)で清拭します。塩素が入っているので適宜換気するのと金属部分は腐食するので水拭きも行います。おむつや吐物は速やかにビニールに捨て固く結び密封します。また感染物の飛散を防ぐため袋を結ぶ時に空気を押しださない様にすることも大事です。医院でもオモチャ、トイレや隔離室、床、ドアノブなど感染の経路になりうる場所やケースを意識し感染予防に取り組んでおります。そしてホームケアや自宅における感染予防など受診時に必要がありましたらしっかり伝えていくことを意識しております。これからずっとお子様の健康を共に守っていけるパートナーでありたいと思っています。よろしくお願い致します。
トイレ掃除にはうるさいおばちゃんナースM(-_-)/~~~ピシー!ピシー!