排便が滞り、日常生活に支障を来たし来院される方や、受診時に腹部の触診で便の塊が触れて症状から便秘と診断されるお子様がおられます。処置の合間に便秘のお話が出来れば良いのですが短時間でのお話が難しいので今日はこの場でお話したいと思います。
 既にご存知の方もおられると思いますが便秘とは「毎日排便がない」状態ではなく幼児期であれば ①1週間に2回以下の排便 ②トイレでの排便を習得した後、少なくとも週1回の便失禁③過度の便の貯留の既往 ④痛みを伴う、あるいは固い便通の既往 ⑤直腸に大きな便塊の存在 ⑥トイレが詰まるくらいの大きな便の既往 ①~⑥まで、少なくとも2つの項目が1ヶ月以上あることを言います。風邪や体調不良で一過性の便秘になるお子様もいますが、一過性の便秘から慢性便秘に移行するお子様もいますので注意が必要です。
 便秘にならないための食事としては便の構成成分を含んだ食べ物を摂取することが必要です。便の75%は水分で25%が固形分で、固形分のうち約半分が不消化成分であるセルロースです。セルロースは植物に多く含まれ(穀類・豆類・野菜類・芋類・果実類)ヒトにはセルロースを消化する酵素がないため便として排泄されます。またセルロースは腸内細菌を助け腸の蠕動運動を促進します。後は細菌が30%、カルシウムやリンなどの無機質が15%、脂質が5~10%を占めます。食物繊維を多く含む食品を摂取することが大事ですが野菜は生で摂取するよりも煮野菜で食べるとより多くの食物繊維をとることが出来ます。今の季節ならお鍋やおでんは最適かと思います。
 次に適度な脂肪の摂取も重要です。母乳は授乳後半に脂肪分を多含むので、乳児は母乳をしっかり飲みきることで便秘の改善に繋がります。
 さて便秘の治療ですがグリセリン浣腸による便塊の除去と便秘の再発防止のための維持療法となります。外来でも浣腸をしますが完全な便塊の除去は数日~1週間を要します。排ガスがあったり、腹痛を訴えたタイミングで家庭で浣腸をすると効果的でお子様の負担も少ないかと思われます。内服薬は院長が家庭での排便の状況を聞き触診した上で外来でお薬を調整します。いくつかのお薬がありますがあかり薬局さんの酸化マグネシウムは、レモンフレーバーで飲みやすく、薬が大の苦手の小児期を過ごした私でも大丈夫な美味しいお薬でした。
 最後に腹筋の重要性についてですが肛門括約筋が緩むと同時に腹圧をかけて「いきむ」ことで便が排泄されます。効果的にいきむには腹筋を鍛えることが大事です。寝転んだ姿勢から上体を起こす腹筋運動を1日10回程度家族一緒にいかがでしょうか。若しくは普段の運動で腹筋を鍛えることも可能かと思います。かくいう私も実は便秘です。浣腸のお世話になったり、Yクルトさんのお世話になったりで自分で触診して便の確認もして日々戦っております。便がスッキリ出て気持ちよい生活を共に目指していきましょう!(^^)!
    来年も二足のわらじを履く予定のおばちゃんナースM(^^ゞ